はじめに#

顕微鏡は光学機器であり、さまざまな光学部品や装置から構成されています。初学者にとって重要なのは、イメージングデータの品質や厳密性、結果の解釈に影響を与える実験条件を理解することです。

基礎となる重要な概念の一つに光路 light path があります。これは、光源から検出器までの光が伝わる経路のことです。細胞培養用の顕微鏡であっても、最先端の超解像顕微鏡であっても、装置内のすべての光路をたどって確認しておくことが重要です。装置をブラックボックスとして扱うのではなく、光路のまとまりとして理解することで、最適化やトラブルシューティングを体系的に行うことができるようになります。標準的な倒立顕微鏡における光路については、MicroscopyU のインタラクティブチュートリアルを参照してください。また、顕微鏡の各構成要素については、こちらの解説でより詳しく紹介されています。

顕微鏡の種類#

ここでは網羅的ではないものの、顕微鏡の代表的な種類をいくつか挙げます。

  • 広視野顕微鏡 widefield microscopy は、単一の光路を通じて得られるすべての光を同時に取り込むタイプの顕微鏡です。落射蛍光顕微鏡 epifluorescence microscopy とも呼ばれます。この方式は必要なハードウェアが比較的単純であり、暗い試料を撮像する際に有利な場合があります。広視野顕微鏡で撮像した後には、画像のぼやけを低減するためにデコンボリューション deconvolution 処理を行うことがあります。

  • 共焦点顕微鏡 confocal microscopy は、光路中の焦点外の光を除去することで、より鮮明な像を得る顕微鏡です。通常は、1つまたは複数のピンホールを用いて、焦点面以外からの光を物理的に遮断します。共焦点顕微鏡にはいくつかの方式がありますが、スピニングディスク型共焦点顕微鏡は、試料への光毒性を比較的低く抑えられるため、ライブセルイメージングに適していることが多いです。

  • 多光子顕微鏡 multiphoton microscopy は、より長波長の(低エネルギーだが届きやすい)光を複数回パルス照射することで、組織深部まで光を到達させる顕微鏡です。長波長の光は組織内で散乱されにくいため、より深い位置まで透過します。焦点位置では、複数の低エネルギー光子が同時に蛍光色素に吸収され、そのエネルギーが合算されることで、単一の光子では励起できない蛍光色素を励起することができます。このような特性から、多光子顕微鏡は組織深部の観察に適しており、特にマウスをはじめとする生体動物ライブイメージングに広く用いられています。

  • 超解像顕微鏡 Superresolution microscopy は、顕微鏡の光学的解像度の理論的限界(回折限界、試料条件によって異なりますが通常は約200 nm)を超えて、より微細な構造を観察できるように設計された顕微鏡です。この回折限界の克服は、特殊な光学系や装置構成によって実現される場合(STED 、SIM)もあれば、特殊な蛍光プローブや分子局在解析を利用して実現される場合(PALM、STORM)もあります。

  • ライトシート顕微鏡 Light sheet microscopy は、撮像軸に対して垂直に試料を照射する顕微鏡です。多くの場合、これには撮像用とは別に、直交する第2の対物レンズ系が用いられます。この方式により、大きな体積を高い軸方向分解能で薄く光学的に切り出す(光学切片を得る)ことが可能になります。一方で、試料のマウント方法については、より複雑な検討が必要です。近年では、ライトシート顕微鏡のさまざまなバリエーションが開発されています。

重要

どの種類の顕微鏡を使用する場合でも、科学研究用の顕微鏡は多くの構成要素からなる複雑な装置です。定量的なイメージングを行うためには、これらの各部が正常に作動し、適切に校正・調整されている必要があります。通常は顕微鏡の管理担当者がこれらを確認していますが、不明点があれば定期的に相談し、装置構成の変更が測定精度に及ぼす影響についても確認するようにしてください。管理担当者は多数の顕微鏡と多くの利用者を担当している場合があります。観察像や装置の挙動に何か異常を感じた場合は、実験を続ける前に必ず相談してください!