実践で気をつけること#

これらの概念の多くについては、インタラクティブな説明が満載の MicrotutorMyScope もご覧になることをお勧めします。

対物レンズの選び方#

顕微鏡の対物レンズにはさまざまな特性があります。これらを理解し、考慮したうえで実験に適した対物レンズを選ぶことが重要です。

  • 倍率と分解能:対物レンズの開口数(numerical aperture, NA)が高いほど、試料からより高い分解能を得ることができます。NA は \(NA=RI * sin(θ)\) で表され、試料やカバーガラス、浸液 immersion media の屈折率 refractive indexと、レンズが集光できる光の入射角の範囲の両方に依存します。特別な手法を用いない場合、理論的な分解能の限界は \(d = λ / 2NA\)で与えられます。これは、分解能が対物レンズの NA だけでなく、撮像に用いる光の波長にも依存することを意味します。

488nmと647nmで撮影された微小管

図 5 長波長の光では分解能が低下する。 短い波長の光で撮像した微小管は、より長い波長で撮像した場合と比べて高い分解能で観察される。Jonkman J., Brown C.M., Wright G.D. et al. Tutorial: guidance for quantitative confocal microscopy Nat Prot 15, (2020) より 5#

  • 色収差補正:多色蛍光顕微鏡観察を行う場合には、Apo または Super Apo と表示された対物レンズを選択することが重要です。これらのレンズは、3〜6種類の異なる波長の光を同一平面上に同時に結像できるように補正されています。一方、Fluor レンズでは、通常は同時に正確に結像できる色は2色程度です。

  • 作動距離:作動距離(working distance, WD)とは、対物レンズが試料内部に焦点を合わせることのできる距離をミリメートル単位で示したものです。この距離には、カバーガラスや封入剤の厚さも含まれます。厚い試料を観察する場合や、試料表面から離れた位置を撮像する必要がある場合には、対物レンズの作動距離が十分であることを確認することが重要です。

フィルターセット#

使用予定の蛍光色素に適したフィルターセットが、撮像に用いる顕微鏡に備わっていることを確認することが重要です。詳しくはブリードスルーの項を参照ください。

Zサンプリング#

励起光の強さと撮像速度#

蛍光色素から得られるシグナル量は、その色素自体の明るさだけでなく、照射される励起光の量(照射時間や出力、あるいはその両方)にも依存します。さらに、検出器(通常はカメラや光電子増倍管(PMT))での露光時間や信号増幅の程度も、最終的なシグナル強度に影響します。理想的な実験条件とは、試料に当たる光量をできるだけ抑え(褪色や光毒性を低減するため)、必要十分な蛍光シグナルを確保しつつ、装置の使用時間を最小限にとどめることです。これらの要素のバランスは、研究対象とする生物学的現象や、研究者が置かれた条件によって異なります。